主人は、都の伯父に木六駄と炭六駄と酒樽を贈ることにし太郎冠者に届けさせます。太郎冠者は大雪のなか、十二頭の牛を追って峠の茶屋にたどりつき酒を注文しますが、茶屋が酒を切らしていたので、届けるはずの酒樽に手をつけてしまいます。
太郎冠者は茶屋にも酒をすすめ、酒盛りになります。酔った太郎冠者は木六駄を茶屋にやってしまい、炭六駄の牛を追って伯父のもとへいきます。主人からの「木六駄に炭六駄もたせ進じ候」とある手紙を読んだ伯父に、木六駄はどうしたのかと尋ねられ、冠者は木六駄とは自分の名前のことだと言い訳をするのでした。舞台に登場しない十二頭の牛をみえるように演じるのは至難の技であり、降りしきる雪のなかで勝手に動く牛を束ね追っていく奮闘ぶりが見どころです。