止動方角(しどうほうがく)

茶比べに行くことになった主人だが、一切道具を持っていないので、太郎冠者に命じ、伯父の所へ借りに使わします。お茶から太刀・馬まで借りてくるように言われた太郎冠者は、伯父の所で全て借りますが、借りた馬が曲者で「後ろで咳をしたら暴れ出す」とのこと。

不機嫌に帰って来る太郎冠者を主人が遅いと迎えに行きます。散々に叱られた太郎冠者は、馬の後ろで咳をして、主人を馬から落としてしまいます。二度も馬から落ちた主人は「もう馬には乗らない」と言い、太郎冠者が乗って行くことになり、そこから太郎冠者の反撃が始まります。
よく、狂言は目下の者が目上の者を馬鹿にする、下克上の思想があるといわれますが、まさにそれを描いた作品です。また、「茶比べ」とは、中世に流行した遊びで、聞茶で銘柄や産地などを当てる遊びです。