水掛聟(みずかけむこ)

聟が田の見回りにくると、水が隣の舅の田に取られているのに気付きます。そこで、畦(あぜ)をきって水を自分の田に引き、よそを見回りにいきます。つぎに、同じように見回りにきた舅は自分の田に水がないのに気付き、聟の田から水を引き返すと、水を取られないよう番しているところ、再び見回りに戻ってきた聟があらわれて水を引こうとし、舅と口論になります。

互いに畦を切って水を引こうと争ううちに、聟が舅の顔に泥水をかけてしまいます。二人は水をかけあったり、泥を顔になすりあったりし、しまいにはとっ組みあいになります。その話しを聞いた妻が駆けつけ仲裁に入るのですが・・・。
青々と広がる田んぼの畦で、鋤や鍬をふりあげて水争いをする舅と聟。まるで幼児の喧嘩のようなおかしさと、舅・聟・妻の人間模様。稲と土の匂いのする懐かしい夏を思い出し、お楽しみいただきたく存じます。