裁判のため長期に渡り京都に単身赴任の遠国の大名が訴訟に勝ち、そのお礼お別れのため、太郎冠者を連れ立って五条の因幡堂のお薬師如来に参詣します。
今回の勝訴も、このお薬師如来のお蔭と感謝し、国許へ帰ってこの御堂を写し安置することにしました。
二人は姿の良い御堂の隅々を見てまわります。ふと大屋根を見ると、厳めしい鬼瓦が目にとまりました。ところが、どうも大名には国許に残した女房の面にソックリに見えるのでした。
鬼瓦が妻とそっくりだと言いつつも、妻を思い出し早く会いたいと大泣きをする大名が、なんとも狂言的で、小品ながら演者にとっては、無類の難曲とされています。