鬮罪人(くじざいにん)

主人は、京都の祇園祭の当番にあたっので太郎冠者に命じて趣向の相談をするため、町内の人達を呼びにいかせます。一同は相談をはじめ、色々な山の趣向が提案され決まりそうになると、太郎冠者が口をだし、別の町から毎年でているとか、ふさわしくない趣向だなどと反対をします。そこで太郎冠者の提案を聞くと、地獄の風景をつくって、鬼が罪人を責めるところはどうかと提案します。

主人は反対をしますが、他の人達が賛成をするのでこれに決まり鬮引きで役を決めることになりました。結果は太郎冠者が鬼、主人が罪人の役にあたり、早速稽古をはじめます。日頃の鬱憤を晴らすかのようにだんだん調子に乗っていく太郎冠者の稽古の様子が笑いを誘います。
現在の祇園祭では、町ごとに山鉾の趣向は決まっていますが、中世では毎年相談で決定していたことが、この曲にみることができます。相談の場面で提案される鯉山や橋弁慶山は現在の祇園祭でも毎年だされています。